雅楽の音階
よく雅楽の演奏で質問コーナーなどを設けると、よくあるのが「どんな音階なのですか?」という質問です。
答えとしては、ごく普通にドレミファソラシドです・・とお答えしています。
それが、明治の時代に洋楽が入ってきたときに自分たちの音楽を理論的にするために和の音名を洋音名に当てはめたのかは私の知るとこではありません。
・・というと、身も蓋もないのですが、一応理論というか、原理はちゃんとありまして(宇宙の原理という人さえいますが)・・
三分損益法(さんぶんそんえきほう)
どうやって1オクターブを12律にわけたかというと、ある太さが一定の管(竹など)を3分の1の長さで吹くと、最初の音より完全5度高い音が得られます。これを、三分損一と言います。
逆に3分の1の長さを足した場合、完全4度低い音が得られる。これを三分益一と言います。
この二つを組み合わせて音階を得る方法を三分損益法といい、ピタゴラス音律と原理は同じです。
案外、音階って数学的にできているわけです。
しかし、三分損益法では完全5度と4度はキレイに得られるものの、3度とかになるとまたむずかしくなるので、いろいろなチューニング法が編み出されていくわけですが、結構音楽をやっている人でも「純正律」と「平均律」の違いさえ気にしていない人が多いです。
(この辺はややこしいので、また今度・・(^_^;)
ワタシもさほど音感がいい方ではないのですが、やはり真の古典は完全5度(4度はオクターブ下の5度の音なので、親戚みたいなもの)をキレイに響かせたいのです。
例:平調(E・ミ)の調子では、それに対する黄鐘(A・ラ)が4度、盤渉(B・シ)が5度になります。
雅楽のチューニングは鐘の音?
現行の雅楽のチューニングはA(ラ)=430Hzということになっています。
なぜそうなったかというと、その当時のオーケストラのチューニングがそうだったみたいで、本来はもっと低かった・・という説もあります。
現行のオーケストラは、A=440~442くらいなので、ずいぶん高くなっています。
いにしえからの言い伝えでは、黄鐘(おうしき)=A(ラ)の音は四天王寺の鐘の音でチューニングする・・ということらしいのですが、太平洋戦争の末期に金属類回収令により幻の梵鐘となってしまって検証のしようがありません。
諸行無常の鐘の声とはこのことでせうか・・
なんてことをしてくれたのでせうか・・!
・・写真がありました。
世界最大の釣鐘が四天王寺にあった!総本家釣鐘屋
しかし、鐘にしたって、夏と冬では金属の膨張によってピッチの違いが・・
おっと、厳密なことをいうのは、西洋的でよろしくありませんな・・
ま、たかが音階、されど音階、音楽家にとっては一大事なわけですが、篳篥のような単音で演奏する場合は、そんなに理論に詳しい必要もなく・・
本当に大変なのは鳳笙の演奏者です。あの難解な和音、どうやってチューニングしてるんだろう・・
(身近な演奏者にはそんなこだわりをもった笙吹きにあったことがありません。気持ち悪くないのかな~、いいかげんにせいよ!)
音階・調律法は果てしなく深い問題ですので、また気が向いたら細かくやってみようかと思います・・
あ、理論も大事ですが、一番大事なのは音ですよ、音!