篳篥(ひちりき)について

篳篥について

ズバリ、コレが「篳篥」という楽器です。「ちりき」と読みます。「ちりき」ではありません。
雅楽では主旋律を担当し、歌うように演奏します。

表に7孔・裏に2孔の穴があり、見たカンジとってもシンプルな楽器です。
篳篥は単体では音が鳴りません。「蘆舌」(ろぜつ)と呼ばれるリードを差し込んでそこから息を吹き込みます。いわゆるダブルリードなのですが、オーボエのリードと異なるのは、材料の葦に熱をかけて潰して形成するところです。
篳篥吹きにとってはこの蘆舌の作成・調整が悩みのタネなのですが、それは蘆舌のページにて解説します。

演奏法 ①塩梅について

篳篥の吹き方でもっとも特徴的なのは、「塩梅」(えんばい)と呼ばれる演奏法ではないでしょうか?同じ指使いで連続的に音程・音色を変化させることをいいます。

とても文章では表現できませんが、洋楽で言うポルタメント (portamento)的な演奏法です。
頑張れば最大2つ下の指使いの音まで下げれます。大体1つ下の指穴の音まで下げて使うのが一般的です。
音を下げることを「める」とか「めらし」とか言います。

使用例:「そこの六をめらして~」という風に使います。

演奏法 ②音域・音階について

篳篥の音域は一番下が「舌」のめらし音(和音名・勝絶/洋音名F)から上は「丁」音(和音名・黄鐘/洋音名G)までの大体1オクターブとチョッと・・という所です。

これは普通の男性が声に出せる音域であり、歌うように演奏するといわれるところです。
篳篥は前述の「めらし」奏法によってこの範囲内であれば半音であろうが4分の1音であろうが自由に演奏できます。

現在の雅楽の音の基音はA=430Hzと、現在の洋楽の基準音A=440Hzより低く設定されています。

指 穴 図 篳篥孔音名 和音名 洋音名

(てい)
※1

黄鐘(おうしき)

A

(ラ)

(じょう) 双調(そうじょう)

G

(ソ)

(いつ)
(いち)
下無(しもむ)

勝絶(しょうぜつ)

F#
(ファ#)F
(ファ)
(し) 平調(ひょうじょう)

E

(ミ)

(りく) 壹越(いちこつ)

D

(レ)

(はん) 神仙(しんせん)

C

(ド)

(こう) 盤渉(ばんしき)

B・H

(シ)

(ご) 黄鐘(おうしき)

A

(ラ)

(ぜつ) 双調(そうじょう)

G

(ソ)

※1  丁音には表3番目のみ押さえる/裏の上は押さえない等各種の押さえ方があります。
※2 下無(しもむ)・勝絶(しょうぜつ)は同じ指使い